公益財団法人 東予育英会 東予学舎 東京都調布市にある男子学生寮

東京都調布市にある男子学生寮の紹介です。

『人間修行の道場』


●塩田智明(しおた ともあき)第33回卒(昭和61年卒業)

●出身高校:新居浜西高校

●卒業大学:東京大学法学部

●現職:衆議院法制局 法制企画調整部長(第5部長)
     東京大学公共政策大学院 立法学 講師

東予学舎とは…

『人間修行の道場』

高校時代、受験勉強に明け暮れ、東大に現役合格したばかりの私は、今から思えば、人と打ち解けることのできない、偏屈な人間だった。東予学舎に入ったのも、場所が通学の便がよく、朝晩の賄いつきであったからで、ゆくゆくは中途退舎してアパート住まいをしようと計画していた。

ところが、東予学舎に入って、否応なしに先輩や同学年の舎生との濃密な交流が始まった。挨拶から始まり、酒のお酌の仕方、受け方を教わり、その中で先輩の厳しさ、優しさに触れた。当番や届け出のルールも、共同生活を成り立たせるための重要な決まり事であることを知った。誕生会、ソフトボール大会、祝賀会といった行事を全身全霊で楽しもうとする先輩や舎友(OB)の姿に圧倒され、素直にすごい人たちだと感動した。尊敬する先輩たちに出会い、謙虚であること、相手を思いやること、最後まで責任を持って任務を果たすことの大切さ、素晴らしさを学んだ。

結局、私は4年間を東予学舎で暮らし、卒業した。入舎するとき15人いた同学年の舎生は、5人になっていた。学舎生活では、他人に言えないつらいこともあった。また他人の心を傷つけたこともあった。決してなにもかもが立派なものではなかったが、逃げずに4年間を東予学舎で暮らしたことだけは、誇りに思っている。

今、私は国会を支える裏方として、議員を法制面からサポートする仕事をしている。職場では、与野党の国会議員のみならず、秘書や政党の職員、霞が関の官僚など、さまざまな立場の人々と協力し合いながら仕事を進めなければならない。そのためには、謙虚さ、思いやり、責任感は必須の資質であり、挨拶や酒席での振る舞い方も決定的に重要だ。この仕事を続けてきて、東予学舎の4年間がいかに大切だったかが、身にしみてわかる。

東予学舎は、人間修行の道場だ。ここで教わることは、学校では決して教えてくれないことばかりだ。ここで人間としての器を磨こう。これからの人生で決して曇ることのない、ピカピカの器を持とう。