公益財団法人 東予育英会 東予学舎 東京都調布市にある男子学生寮

東京都調布市にある男子学生寮の紹介です。

 内定はもらったのですが、将来、起業を考えていまして…

 G君(学生)×O氏(OB) 

このコーナーは就職を控えた学生(3、4年生)が先輩を突撃して聞きたいことを聞くコーナーです。本音トークのため個人情報は伏せております。Gは学生、OはOBの発言

「内定はもらったのですが、将来、起業を考えていまして…」
G:大学では理系に籍を置いていますが、理系職以外の道でシューカツ(就職活動)を重ね(ベンチャー企業を中心に30社以上訪問)、この度、積極的に駒を進めたIT系企業の営業職で内定を頂きました。将来的には「一国一城の主となり人を引っ張っていく立場になりたい(起業・独立)」という夢があり、「経営コンサルタント」に興味を持っています。
O:就職しようとしている会社とは全然違うね。
G:ええ、しかし、そういう仕事をすれば、経営と密に繋がりがあるので…
O:でも、経営コンサルタントをやるんだったら、ちゃんとした会社(普通の一般的な会社)に入って、会社ってこういうもんだというのを知らんとできんと思うよ。TVにも学者上がりの経営コンサルタントが出ているけどあーいうのは充分じゃないと思うよ。よー分かってないと思う。できればそーゆー会社を3年ぐらいづつ3つぐらい渡ってその中から見えてくるもんだと思うけどね。
G:いきなり、「経営コンサルタント」や「税理士」の事務所に入って、会社の経営を学んで独立するというのは道筋としてはどうですか?
O:だから、理論の世界だと思うよ。そーゆー先輩方の過去は分からんけど、いきなりコンサルタント会社に入って、いろいろ先輩から教えてもらったり、自分で勉強したりするものは、結局、理論上の話で、きっと、そーゆー人が会社にコンサルに行って話しとったら、多分「この人、何ゆーてんの?」と思われる事が多いと思うよ。よーするに、ほんとの会社ってどーゆーモノかってことを知らんと中身を突っ込んでいけんジャンか。経営コンサルタントって、要するに「ここをこーゆーふうにしたらいいんじゃないですか」ということだから…
G:「中小企業診断士」とかもそーですよね…
O:そうそう。まー、3社とは言わんけど、今度入社する会社でもいいんだけど、「会社ってこーゆーふうに動いてんだ。営業はこーだけど、他のとこはこーゆーふーに動いてて、それがこーゆー組織になってて…」まー結局はピラミッドになってる訳だけど。まあ、その辺を勉強していけば、次のステップアップに役立つんちゃうん。
G:まず、実地で学んでいくということですね。
O:でも、会社入って、自分の夢は夢でいいんだけど、あんまり言わんほうがええよ。「俺、長くいないよ!」って言ってるようなもんだから。
G:面接で言ってしまったんですよ。常々言ってきたんですよ。面接で将来像というのを聞かれるじゃないですか。それで、やっぱり、起業したいからということで、ステップに使わしてもらう…という言い方は失礼なんですけど、まあ、会社の中ではとりあえず、自分はできる限りのことはして、相当必要な人材にはなりますから…ということで…それでも自分を採用してくれるぐらいの会社に行きたいな…という思いがありましたし…
O:まあ、それはそれでいいんじゃないかな。
G:お世話になる会社もベンチャー企業ですので…その辺の理解もあったのかと…。
O:うんうん…。まあ、会社って違う世界やからね〜。学生とはね。
G:ええ、そーなんですよ。未知数なところがあって。ほんとに。ですから社会人の方の話をいっぱい聞きたいなというところが学生の気持ちとしてはあると思うんですよ。説明会に行ってもなかなか本音で話してくれる会社はないというか…。
O:うちの会社はそれが取り柄だと言われているよ(笑)。

「面接で…何であんなこと言うたんやろ…恥ずかしい…」

G:ホントですか…。O先輩の就職活動というのはどんなだったんですか?
O:コネ入社だったんよ。でも、自慢じゃないけど、その年の4、5人のコネグループの中から結局自分だけ採用になった。何で通ったか分からんけど…なんか、ものすごい恥ずかしい話だけど…役員面接の時に、「今までで1番悲しかった事は?」と聞かれて、突然の質問に「中学の合唱部の時の話で、県大会出場の常連校だったのに、県大会に出場できない事が決まった大会の帰り道に皆で泣いたこと」と答えてたね。突然んな事言われてもなんて答えてえーか分からんよ!
G:そーなんです。全く予測していない質問が多いんですよ!
O:そーやろ。だってマニュアル本が沢山でとるから…あんなもん誰も聞かんよ!
G:ほんと、想定外のことを面接で言われるんですよ!
O:まあ、それはまだいいんだけど…もひとつあって…恥ずかしいから言いたくないなあ…「他の悲しかったことは」と聞かれて「その前の週に、女子ゴルフで、岡本綾子がある外人選手と優勝争いしていて、ライバルがパーパットをはずしてボギーになった時に、日本人ギャラリーが「ナイス・ボギー」と言った。その事が同じ日本人として悲しかった」と答えてた。直前にあったことなんで印象が濃かったんよ(笑)。後で何であんなこと言うたんやろ…恥ずかしい…と思ってたら…採用されてた…まあ、分からんよ…。うちの会社変人ばっかりやけん。
G:その面白さが良かったんじゃないですか!その度胸と言うか…
O:マニュアルにない突拍子もない質問で本当の人間性を探っとんやろね。
G:最近あった悲しいことは何ですか?
O:また、突拍子もないことを…「結婚できてないこと」(爆笑)…「子供ができてないこと」…
G:何で子供ですか?
O:自分の子供って見たいじゃん。未知の世界よ。
G:逆に「人生の中で一番幸せだったこと」って何ですか?
O:何だろね……幸せ薄いからね(笑)……思いつかないね…

「まあ、あんまり先を見てやらんこっちゃね。」

G:幸せの中にいると気付かないものかも知れませんね(笑)。ところで、社会人になって時間の流れはやっぱ早いですか?
O:早いよ。昨日年賀状書いたとおもたらもう6月やんか。ビックリするよ。
G:僕もビックリするんですけど…中学生の頃って「20才ってどんな気持ちなんやろう」って思ってましたけど、なったらなったで今度は「社会人てゆうのはどんなものなんだろう」ってものがあったんです…が…もうその立場になろうとしている…
O:社会人になったらまた早いよ〜。何で早いかというと…月曜は憂鬱やんか…土日を考える訳よ。あと何日で休みになる。土曜が来ても休みはあっという間におわるやんか。そしてまた月曜日。これやってると早い。…ところで、お前の人生の中で一番悲しかったことって何?
G:悲しかったと言うか、自分的に一番悩んだのは、中学時代に、県下でも3本指に入るぐらい悪かった学校にいたんですが、生徒会や、野球部のキャプテンなどのリーダー役をやらせてくれてんですけど「みんなが言うことを聞いてくれない!」ということでかなり悩みましたね。思い通りにならんと言うか…
O:いまでもそうやろ!
G:ええ、そーですね。というか、あまり優等生ではない自分が先生から皆をまとめるように言われたのが…
O:苦しかった…
G:そーなんです。先生には「お前はみんなを引っ張っていく力があるんだから」と言われたのですが…意味が分からなかったですね。でも、それをやっていくうちに期待にこたえるのも悪くないかなという心境になっていったんです。
O:Gのギャップが面白いね。こんな風貌でそんなまじめなことを言うのが(笑)。悪ぶってる奴っていい奴が多いからな。…でも、早めにそーゆーのを知れたってゆうのは良かったと思うよ。学生寮にいても、会社入っても、そーゆー苦労には当たるからね。まあ、すんなり行かんよ!何事も。…何でも思い通りに行ったらつまらんし。思い通りに行かない行き詰ったところでどーゆー打開策を図るか…、そして、それがなにがしかの解決に繋がればまたひとつステップアップしていける訳やし…
G:そーですね。まあ、そのことがあったから、今を一生懸命やればつらいなりにもいい結果が出てくるというか…
O:まあ、あんまり先を見てやらんこっちゃね。
G:今を生きる…というか…
O:先を見ると言うか…先のご褒美を目指すとか…そんなアホなことを考えちゃいかんし…まあ、足元から一つ一つしっかり解決していくこっちゃね。…まあ、忙しけりゃそんなモンも見えんなってくるけど…。ところで、お前が一番うれしかったことって何?
G:中学までは野球をやってたんですが、高校に入ってバスケをはじめたんです。未経験だった自分が独学で研究してレギュラーとったんです。そしてみんな(チーム身長が低かった)で鍛えて体力つけて…県大会行けたんです。その時はめっちゃうれしかったですね。

「仕事が大変じゃ思ったらやっとれん。」

G:明日は朝から帰られるんですか?(O氏は地方に赴任中)
O:帰らんよ。
G:えーっつ。仕事はないんでしょ!(翌日土曜日)
O:仕事はないけど…秘密。まあ、ちょっとね。のんびりさせてもらって…。
G:月曜からは会社…。そーゆーのがなかなか大変ですよね。
O:まあ、大変と思えば大変だし……仕事が大変じゃ思ったらやっとれん。…学校の単位のほうは余裕なん?
G:単位は余裕です。
O:就職後の住む場所は?
G:都内にアパートを借りる感じですかね…
O:社宅はないんだな。住宅手当が出るのかな…。
G:実はアメリカにも事務所があるんですよ。そっちにも興味があるんですけどね…。
O:英語はできよん?
G:いえ。全然できません。
O:まあ、3年ぐらい行けたらええよね。

「創造的な発想をするだけの余裕がないと会社って発展していかんから…」

G:ずばり、先輩にとって仕事とは何ですか?
O:生きがい!(笑)いや、正確に言うとそれしかないんだよ。生きてる価値が…。(笑)
G:今の会社を勤め上げるお考えですか?将来的な夢はなんですか?
O:夢ないけどね…。今のままの会社じゃつぶれてしまうとも思ってるし…。ただ、何とかせんといかんと思ってる!そう、甦生師。若いのがどんどん辞めてんだよ、今。何が問題なのかよー分からん。でも、何かで書いてたけどリストラの問題もあるのかもしらん。やっぱり人を減らしてとりあえず今の仕事が回ればええという人員にしてしまうと新しいことが全然出てこんのよ。発想が。毎日毎日今の仕事がんばって11時12時までやって…そんなんじゃ進歩ないじゃん。とりあえず仕事こなしているだけで。それで仕事が回っていると見る人もいるけど…そうではなくて、創造的な発想をするだけの余裕がないと会社って発展していかんから…たぶんそーゆーのも見て若い奴が辞めていっとんだと思うよ。
G:仕事の中身が面白ければいいんでしょうけど…
O:のもあるけど、メリハリがないと駄目。毎日毎日やっとったらキリないじゃん。先がみえんじゃん。例えばひと月とって、ここはピークだけど落ち着いたらこうなる…それが分かれば頑張れる。特に若い奴は仕事の先なんか見えんからメリハリを付けて、早く帰れるときは定時で帰る!俺なんかずーつとどこいっても言ってるよ。「残業なんかするな!何やっとんや!仕事あんの?」大体会社ってだらだら残ってたりするから。
G:ほ〜。
O:上司が帰らんと帰れんとか…そーいうのがあるみたい。俺は上司に関係なくとっとと帰ってるから。「お先〜、飲み会〜。」
G:問題意識と行動力が必要ですね。
O:うん。そーゆーことができるようになるためには何年かたたんと無理なんよ。その前に辞めてしまうから…

「「若いうちは…」って使うとすれば…やっぱ、お勉強だよね。」

G:仕事とプライベートってよく言うじゃないですか。自分の妄想に近いものとして「仕事が充実してなかったらプライベートも充実することはない!」と思うんですよね。仕事をイヤイヤやって、帰って…
O:家庭内暴力するんじゃ(笑)
G:そーとー悪かったらそーなると思うんですけど、仕事をイヤイヤやって、夜7時に家帰ってそっから家庭があるのでやりがいが出る…なんてことは人生の中でないと思うんですよ。
O:ないだろね。…でも、理想論のところもあって、必ずしも楽しく仕事ができることばっかりじゃないんよ。どっちかと言うと辛いことのほうが多い。なんか、じじいみたいに「若いうちは…」って言いたくないけど、若いうちって分からんじゃん。社会のことも会社のことも…。そーゆー意味で「若いうちは…」って使うとすれば…やっぱ、お勉強だよね。お勉強を途中で投げ出して辞めていって、次の会社に行ったらまたゼロからやり直しやんか。昔から言われてんのは3年なんよ。一つの目安として。さっきも言うたけど。3年一つの会社におると大体分かる。その会社の全体が。一番最初は3年で、その次は1年でも2年でもいいのかも知れんけど…。やっぱ、それぐらいはおらんと分かってこない。
G:目先の仕事がイヤだから逃げ出すというのはダメということですか…。
O:うーん。ダメというか…それは本人がイヤなんだったらしょうがないけど…多分、1年ぐらいで辞める奴は次に行っても使い物にならんと思うよ。会社ってそんなにひどいもんじゃないと思ってるから。次にどんな立派な会社に行くんか知らんけど、同じ様なことを繰り返すんじゃないかという気がする。楽できればいいというモンじゃない。仕事は。それは結局は自分のためにはならんから。ある程度は苦労しながら…と思うけど。
G:なんとなく…。
O:まー、結局はその上にいる人間の資質なんよ。「新入社員のこいつをどーやって育ててやろうか」という熱意がないとダメなんだけど、さっきも言ったとおりどんどん人減らしてるから「それどころじゃないっ!」って言う状況になってるわけよ。悲しいかな。とりあえず自分の仕事で躍起になってやってるわけ。誰がこようが「まあ、勉強しとけ!」となると、ますますそーゆー状況になってしまう。
G:そーですか。

「簡単じゃないよ。人を育てるのは。」

O:もし、Gが起業して、会社作ったら、まず考えることは「自分の後は誰に任すか」。だって、自分が死んだらその会社つぶれる…まあ、それもひとつの考え方だけど、何の仕事をするかにもよるけど、供給責任というものがあるわけだから。お客さんがおるわけでしょ。継続的な取引を望んでいる人たちがいるわけだから、会社はつぶしちゃいかんでしょ。そーなったら、俺の後はこいつに任せたい!そりゃすぐじゃなくていいんだけど、それを常に頭において人を育てて行かんといかんと思う。簡単じゃないよ。人を育てるのは。
G:そのことを聞いて、社会人と学生とだいぶ違いはあると思うんですけど…、学舎には、大学生ではできない経験をさしてもらってる場があるし、そーとーええ組織だと思うんですけど…、その自分の考えを後輩に受け継ぎたくても、なかなか受け継げないという…
O:まあ、ジレンマはあると思う。俺もあったし…
G:それで、自分としては、素質がありそうな後輩によく話をしたり、こーゆー飲みに連れて行ったりして…、できればこの寮のことを分かって欲しくて、自分の分身を作りたい!という気持ちはあるんですけど…社長は何年もやるんでしょうけど、上級生時代は短いですから…
O:まあね。
G:伝えきれるか伝えきれんかというところはあると思うんですけど、その中でも精一杯伝えたいという気持ちがありまして…。この寮が、アパートじゃないですけど住むだけの所だったら悲しいですよね。まあ、入舎した当時は分からなかったんで「食事もあるし、そこそこ安いし、学校もそれなりに行けるしな」という気持ちで入ったんですけど、やっぱり、集団生活を学べるということは、この若い10代においてはかけがえがないというか…。
O:ね、今ないからね〜。
G:ええ、ありえんぐらい学べる組織ですよ。

「自分がその時にどーゆー気持ちだったかを思い出して」

O:将来的にどんどんなくなるんだろうね。ほんと怖いよ。そーゆー意味では。自分の個に入る…高校までは親元から通っている奴でも、大学に入ったら自分の個の世界に入るっていう…。特に最近ゲームとかの世界に入る奴が多いだろ…そーゆー連中がどんどん会社に入ってくるわけやんか。どうなるんだろな〜。ま、そーゆーのが入ってきたら会社で面倒見るしかないよ。昔は、小さいときから、地域や学校で何らかの集団活動があったけど、今は薄れてきとるけんね。将来、どーゆー社会になっていくんか怖いよ。このまま行ったら…。ただ、現状は、Gを採用する側の人はまだ昔の人。まだ、ジェネレーションギャップがあってバランスがとれてるわけよ。それが20年、30年したらホントにがらっと変わってしまってるか知れんけど、その時に会社の組織というのがどーなってるのか分からん。
G:学舎の学生の関係の中でもあると思うんですけど、入寮する前はそれぞれ18年間違う場所で過ごしてきたわけじゃないですか。僕が言うことが理解不可能な学生もいると思うんですね。その後輩たちに説明するときにどー説明したらいいのか分からない時もあるんですよ。
O:うん。それは自分が入舎した時のことを思い出すしかないんじゃない。「初めて東京に来たときに当時の先輩がこーゆーことを言ってた。でもそれはちょっと分からんかったな〜」とか、「ん、ちゃうやろ!」と思ったことなんかを思い出してみたらえーんよ。自分がその時にどーゆー気持ちだったかを思い出して、「じゃあ、今、自分は、こいつらにどーゆーことをゆーてやろ」と考えるのもひとつやね。

ここで他のOBも合流。今回のトーク紹介はここまで。インタビュー、文責:運営委員・中野

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【対談後のO氏】
 G君も就職が決まり、自身の行く末をきちんと考えていることにはビックリしました。 社会に出て、しかも若い間は色々と面白くないことや挫折も感じると思いますが、足元をしっかり見据えて様々なことを吸収しながら、やりたいことの実現を目指して頑張って欲しいと思います。
  そういう意味でも本当に困った時に相談できる友人を持つことは重要です。昔からの友人、今の友人、そしてこれから出会うであろう友人・・・人の繋がりを今後とも大切にしていって下さい。

【G君から】
  先輩!ごちそうさまでした。

場所:新宿区歌舞伎町「焼酎ダイニングバー 千鶴」